コロンビア住宅地区

単体設計からコミュニティ計画へ:ヒューデックとコロンビア住宅地区

建築家ラースロー・ヒューデックを語るうえで、コロンビア住宅地区は欠かせません。ここは彼の住宅設計の集大成であるだけでなく、理想の住まい、コミュニティづくり、建築美学への追求が凝縮された場所でもあります。上海スタイルの庭園住宅の典型であり、異郷で身を立て、名作を築き上げるに至った一人の建築巨匠の歩みも映し出しています。今回は、その魅力を詳しく見ていきましょう。

                  新華路の外国人向け弄堂の空撮写真(画像出典:人文新華) 

コロンビア住宅地区プロジェクトは、ヒューデックのキャリアにおける重要な転換点でした。ここで彼が手がけたのは、単なる一戸建て洋館ではなく、全体計画、統一された景観、個別設計を取り入れたものでした。単体設計からコミュニティづくりへ、「理想の住宅」から「理想のコミュニティ」へと歩みを進め、「設計」と「暮らし」の一体化を実現したのです。
住宅様式について、ヒューデックは別荘を10種類の異なるスタイル(英国式、スペイン式など)に分け、さまざまな地域から来た外国人住民の郷愁や憧れに応えました。なかでも人気の高かった英国田園風の別荘については、A、B、C、Dの4つの細かなタイプも用意しました。室内設計では、おおむね固定された間取り図をもとにしながらも、顧客が自由に選べる柔軟性を持たせました。顧客は住宅のスタイルを選ぶだけでなく、延べ床面積を増やしたり、ガレージを選んだり、間取りを変更したりすることができ、さらには自分自身が設計者となって、家に対する思いをヒューデックに伝え、夢の住まいの実現を手助けしてもらうこともできました。
コロンビア住宅地区は、「一つの通りに多様な表情がありながら、全体として調和している」という独自の景観を形成しました。現在、多くの専門家や研究者は、これをヒューデックの住宅設計が成熟期を迎えた時期の代表作と見なしています。